ロナーガン夫妻



トム・ロナーガン(Thomas Lonergan 1964年生)、アイリーン・ロナーガン(Eileen Lonergan 1969年生)
 [アメリカ・ダイバー夫妻]


 トム・ロナーガンとアイリーン・ロナーガンは、ルイジアナ州立大学時代に出会い、その後結婚。2人はアメリカを出て、フィジーなどでボランティアをしながら過ごしていた。

 1998年1月25日、オーストラリアのグレート・バリア・リーフにて、日帰りのスキューバダイビングツアーに参加したが、ダイビング中にグループとはぐれた。同じボートに乗っていた26人の乗客と5人のクルーは2人が見当たらないことに気づかず、船はそのまま行ってしまい、2人はサメの泳ぐ海原に取り残されてしまった。

 2日後になってダイビングツアーの係員がボートを清掃中、ボートに夫妻のバッグやパスポートが残されているのを発見、ダイビングのボンベの数も2つ足りないことが発覚し、この時はじめて2人を海原に置き去りにしたことが判明した。数日間に及ぶ捜索が行われたが、結局2人は見つからず、ウェイトベルト、ボンベ、アイリーンと同サイズのウェットスーツだけが発見された。

 その後の訴訟裁判で夫妻の日記が明らかになり、夫妻が移住先であるフィジーでの仕事を嫌がっていたことや、トムが死にたがっていたことなどが分かった。また、奇妙なことに、乗船名簿にはロナーガン夫妻の名前はなかったことから、事故ではなく計画的な心中、もしくは2人が新しい生活を始めるための偽装工作による生存説など様々な憶測が流れたが、真実は分かっていない。

 2003年に、この事件を元にした映画『オープン・ウォーター』が公開され、低予算映画としては異例の大規模公開となり、予想外の大ヒットを記録して話題を集めた。約12万ドルという低予算のため、特殊効果やスタントはほとんど使っておらず、俳優たちは“何があっても訴訟はおこさない”という権利放棄書にサインをして、実際にサメが泳ぐ中で演技したという。


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