Architect #7/Code Star[AL/A'/We] (1 / 2)
Child_A
ラテンアメリカ。

吹き溜まりの街、ロクデナシが集まる店。

「マジでここなの?」

A'がうんざりしたように言って、床にタバコの灰を散らす。

「ご指定だからしょうがない」

「しかもですよ、錬金術師様。なぜにここでデカメロンとか読みますか?それだけならばまだいいが、ハードカバーで!」

「…ソドムとゴモラを体感しようかと思って」

アルが、本から目を上げずに答える。

「ねぇよ!」

言い捨てて、A'がポケットからタバコを取り出した瞬間、店のドアが派手な音を立てて開いた。

「ダブルで、…こりゃねぇわ」

客の視線が一気にドアに集まり、ドアを開けたのが妙齢の金髪美女だとわかると、その視線は好奇から好色な物に変わる。

「ハロウ、アル!」
「ハロウ、ウエディ。相変わらず派手好きだね」

金髪美女が肩をすくめて、アルとA'が陣取っているテーブルに歩み寄る。

「女は注目されるうちが華!」

激しく違う、とA'は心の中だけで思いつつ立ち上がった。

アルが本を閉じて顔をあげる。

「首尾は?」
「誰に向かって言ってるのよ?」

テーブルの上に置かれた封筒をポケットに仕舞ってから、アルがにっこりと微笑んだ。

「…失礼。何か呑む?」
「ディタ…」

ウェディの言葉を聞いてA'がカウンターに向かう…途中で、またドアが派手な音を立てて開いた。

「……トリプルで、これは酷い」

A'が慌ててテーブルに戻ると、アルが俯いて肩を震わせていた。

「ちょ…超!!」

「あ ん た が 笑 う な !」

ドアを開けた金髪の少女が、真っ直ぐに3人のところに歩いてくる。

「なかなか…」

金髪の少女が立ち止まって、キッとウエディを睨み付けた。

「ちょっと!どうしてあなたがここにいるの?!」

ウエディが慌てて立ち上がる。

「迎えに来てくれないから、自分で逃げて来たんじゃないの!お姉ちゃんの薄情者!」

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